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もうららいふ

快適らいふを目指して、実践したことを書いています。引き寄せの法則が好き。ビジネス書もよく読みます。

重く悲しいけれど、美しい映画「愛を読むひと」

映画「愛を読むひと」は、第二次世界大戦後のドイツが舞台の恋愛映画です。ある日、街中で体調不良のため吐いてしまった少年を偶然居合わせた年上の女性が介抱するところから物語が始まります。後日、体調の回復した少年が女性の家を訪ね、次第に親しくなり、お互いに深い仲になってゆくのですが、恋仲になってから彼女は少年にいろいろな本を朗読してくれるよう頼み続けます。

その理由は少年には決して明かされないのですが、請われるままに少年は彼女に本を朗読し続けます。そんな二人の関係は、彼女が職場での態度を褒められ、上司に昇進を言い渡されたことをきっかけに急に終わりを告げてしまうのです。秘密を打ち明けることもできず、愛する少年の前から姿を消さなければならなかった彼女がなんとも切ないです。

しかも何年もたってから二人がお互いの姿を見出した時、彼女は過去のナチスとしての罪を問われた被告の姿で彼の前に立たなければなりませんでした。字が読めないという彼女の決して誰にも明かしたくない秘密のために、彼の前で罪を被らなければならず、そのために収監される運命となった彼女を法廷の傍聴席から見ていた彼が静かに涙を流すシーンが、もう胸が締め付けられそうに切ないシーンでした。

すっかり大人になった彼が、収監された彼女に本を朗読したテープを次々に送り届け、かつてのように彼女の朗読者としての役割に徹しているところは、まるで彼女に物語を届けながら、その実は彼女に愛の言葉を届けているようで悲しくも美しい印象的な場面でした。彼女は彼に送ってもらった朗読テープを聞き続けるうちに、次第に読み書きを勉強し、彼に手紙を書くようにもなりますが、刑期を終える寸前に彼女は自殺してしまいます。なぜ自殺したのか、その理由は物語中では明らかにされません。

識字能力を身に着けていくうち、かつて犯した罪の重さを自覚し、それに耐えきれなくなったのかもしれません。釈放された後、彼女の身柄を引き受ける約束までしていた彼ですが、その役割を果たすことはできませんでした。

物語りの最後に、彼は自分の娘を彼女のお墓の前に連れていき、在りし日の彼女を偲びますが、その行為がまるで自分の恋心をお墓に葬ろうとしているかのようで切なかったです。字が読めない、書けないということが死よりも恐ろしい恥だったために、それを周囲に知られるよりは無期懲役を選んだ彼女でしたが、その不器用な生きざまがなんとも悲しかったです。悲しい終わり方ではありましたが、朗読という行為を通してずっとつながり続ける女性とかつての少年が、恋愛というよりもっと深い何かで結ばれているようで、そこにだけ救いがあるような気がしました。重く悲しいけれど、美しい映画を求める人にみてもらいたい作品です。